あれは忘れもしない、数年前の梅雨時期のことでした。私は当時、築浅のマンションに住んでおり、日々の家事にもそれなりに慣れてきたつもりでいました。しかし、その油断がとんでもない事態を引き起こすことになるなんて、夢にも思っていなかったのです。その日もいつも通り、朝一番で洗濯機を回しました。洗濯が終わったのを確認し、洗濯物を取り出して干し終え、ホッと一息。その後、急いで出かける準備をして、慌ただしく家を後にしました。普段なら、洗濯機の水栓を閉めることを意識していたはずなのですが、その日はなぜか、その一手間をすっかり忘れてしまっていたのです。私が異変に気づいたのは、仕事から帰宅した夕方のことでした。玄関のドアを開けると、いつもと違う湿った空気を感じ、そしてリビングのドアを開けた瞬間、目の前に広がる光景に言葉を失いました。床一面が水浸しだったのです。パニックになりながらも原因を探ると、洗濯機置き場から水が溢れ出ているのを発見。なんと、給水ホースの接続部分が外れかかり、そこから水が漏れ続けていたのでした。水栓を開けたままだったために、私が家を空けていた数時間、水は止まることなく流れ出ていたのです。床は水を吸って膨れ上がり、壁の一部にもシミができていました。お気に入りのラグはびしょ濡れで、近くに置いていた本棚の下の部分も水を吸って変形していました。幸い、階下への漏水はギリギリのところで免れましたが、それでも自宅の被害は甚大でした。すぐに管理会社に連絡し、業者を手配してもらいましたが、床の張り替えや壁の補修にはかなりの費用と時間がかかりました。保険で一部はカバーできたものの、自己負担額も決して少なくはなく、何よりも精神的なショックは相当なものでした。あの時、たった数秒、水栓を閉めるという行為を怠っただけで、こんな大惨事になるとは。後悔しても仕切れませんでした。この苦い経験を通して、私は洗濯機の水栓を閉めることの重要性を骨身にしみて理解しました。それ以来、洗濯が終わったら必ず水栓を閉めることを徹底し、さらに外出前や就寝前にも再確認するようになりました。
洗濯機の水栓を閉め忘れ大惨事に