トイレは毎日何度も使うものですが、その内部にある部品にも、自動車の部品と同じように「寿命」があることをご存知でしょうか。特に、タンクの中で水に浸かりながら常に動き続けているボールタップやフロートバルブといった部品は消耗品であり、いずれは交換の時期がやってきます。一般的に、これらのタンク内部品の寿命は、使用頻度や水質によっても異なりますが、おおよそ7年から10年が目安と言われています。ご自宅のトイレを設置してから10年以上経過しているのであれば、いつ不具合が起きても不思議ではない状態だと考えるべきです。そして、これらの部品は、寿命が近づくと様々なサインを発し始めます。そのサインを見逃さないことが、突然の大きなトラブルを防ぐための鍵となります。まず、タンクに水を供給する「ボールタップ」の寿命が近いサインとしては、「ブーン」や「シュー」といった異音の発生が挙げられます。これは内部のパッキンが劣化し、水を止める際に弁が振動することで起こります。また、給水に時間がかかるようになった、あるいは逆にいつまでも給水が止まらない、といった症状もボールタップの不具合が原因です。次に、タンクの底で水の栓をしている「フロートバルブ」の寿命のサインは、より分かりやすいかもしれません。最も典型的なのが、便器の中に常に水が「ちょろちょろと流れ続ける」現象です。これは、ゴム製のバルブが劣化して硬化したり、変形したりして、排水口を完全に塞ぐことができなくなっている証拠です。この状態は、水道代の浪費に直結します。また、レバーを操作した時に、手応えがスカスカする、あるいはレバーが元の位置に戻りにくいといった症状も、フロートバルブやそれに繋がる鎖の劣化を示しています。これらのサインに気づいたら、それは部品が最後の力を振り絞って動いている状態かもしれません。
トイレタンク部品の寿命と交換のサイン